記憶の仕組みと復習の重要性
基本的に、勉強の基本は「復習」です。
超特殊なサヴァン症候群みたいな人を除き、普通の人は新しいことをやっても復習をしなければすぐに忘れてしまうからです。
記憶には、「短期記憶」と「長期記憶」がある
そもそも、記憶には短期記憶と長期記憶の2種類があります。
例えば、「電話をかけるまでの間、電話番号をちょっとだけ覚えておく」みたいな時の記憶が短期記憶。で、短期記憶はすぐに忘れます。おそらく、電話をかけてからしばらくすれば、番号なんてすっかり忘れていることでしょう。
ところが、自宅や自分の携帯の電話番号であれば話は別。なんだかんだ言って、暗記しているのが普通だと思います。それはなぜかといえば、何度も目にしているうちに、自然と覚えてしまったから。
勉強でも、寝て起きたら忘れちゃうような一夜漬けで覚えるより、長期間忘れないやり方で覚えた方が明らかに利口です。中間期末を一夜漬けで乗り切ってきたタイプの人は、情報を処理する瞬発力はあるかも知れないので、あとはそれを定着させる努力をすれば良いだけです。
エビングハウスの忘却曲線
「復習は大事だよ〜」という話をするとき、必ずと言っていいほど登場するのがエビングハウスの忘却曲線という理論です。
こいつは、エビングハウスという人がやった、
①意味のない単語を適当に作り、それを暗記する。
②時間経過ごとに、再テスト。どのくらい覚えていたか調べる。
という、ある意味めちゃくちゃシンプルな実験から明らかになった理論で、具体的にはこんな感じの結果が得られました。
20分後には42%を忘却し、58%を保持していた。
1時間後には56%を忘却し、44%を保持していた。
1日後には74%を忘却し、26%を保持していた。
1週間後(7日間後)には77%を忘却し、23%を保持していた。
1ヶ月後(30日間後)には79%を忘却し、21%を保持していた。
図にするとこんな感じ。
ただしこれは復習をしなかった場合で、きちんと復習をすると、こんな風になります。
エピソード記憶と意味記憶
エビングハウスの忘却曲線は、
①意味のない単語を適当に作り、それを暗記する。
②時間経過ごとに、再テスト。どのくらい覚えていたか調べる。
という手順で得られたデータであるため、被験者は全く意味のない単語を、ただただ暗記させられただけでした。例えるなら円周率を100桁暗記せよといったような課題を与えられていたのと同じことです。
ですが実際には、人間は単語と単語の繋がり、既に知っている知識を元にして、新しい概念・エピソードを理解・学習をしています。
「桶狭間の戦い」という言葉それ自体には大した意味はありませんが、
・織田信長と今川義元が戦った
・信長の奇襲作戦が成功し、今川義元に勝利した
・結果、尾張の信長が全国的な大名になる第一歩となった
(※諸説あり)
という説明を聞けば、「桶狭間の戦い」に意味を持たせることができます。こういったタイプの記憶意味記憶と言い、「信長スゲエ!」と関心して残った記憶をエピソード記憶と言います。参考書で言えば、速読英単語やDUO3.0などの文脈型単語帳や、実況中継シリーズなど、講義調の本がこれらの記憶を強化するでしょう。講義調であれば理解しやすいですし、文脈型の単語帳は関連付けしやすいので覚えやすいのです。
ただし、理解したから記憶に残るとは限りません。理解しやすい話を聞くと(読むと)、なんとなく覚えたような気になってしまう危険があるので注意しましょう。
これ、予備校の講義を受ける人なんかにも言えます。せっかく理解しても、しっかり復習しないのであれば意味がありません。講義系の参考書は基本的に復習し辛いですが、漠然と読み返すだけではなく、用語をしっかり覚えているどうかを赤シートで確認するなどして、しっかり復習すべきです。
そもそも、ある程度の専門用語や単語を覚えないことにはエピソードを理解することだって出来ません。信長を知らない人が桶狭間の説明を聞いて感動できるか?という話です。
英単語や専門用語などは、どうしたって覚えるしかありません。もちろん、現実的にはエピソード記憶と丸暗記の両方を組み合わせて記憶するのが1番よいでしょう。そのためには、いずれにせよ復習が大切です。とにかく復習しましょう。理解→反復を繰り返すのです。
尚、記憶力の話はこの本が1番わかりやすいと思います。
純粋に面白いので、機会があれば是非読んでみてください。