スマホゲームは「Fallout Shelter」のテンポとフリーミアム手法から学ぶべき
Fallout Shelterというゲームにハマりました。
生まれて初めてスマホのゲームに課金してしまい、非常によくできたゲームだなぁと思ったので色々と調べていくうち、僕の考えとピッタリ一致する分析を発見したので紹介します。以下、基本的には元記事の妙訳です。
溢れかえっている「フリーミアム」なゲーム
現在アプリストアには、マネタイズ戦略に「フリーミアム」モデルを採用したアプリで溢れかえっています。アプリビジネスで利益を出すためには、有料アプリを販売するよりもフリーミアムのモデルの方が利益を出しやすいことが統計のデータからもわかってるからです。
フリーミアムモデルが成功しやすい要因の1つは、有料モデルよりもアプリのダウンロード数が増えることにあります。一説によると、アプリが無料になると有料の時より20倍ものダウンロード数が増えるという話もあるくらいですから、そもそもの母数が全然変わってくる訳です。
フリーミアムモデルというのは、
①無料のアプリに釣られてきた大量のユーザーに、まずはアプリの面白さを思う存分体験・学習してもらう。
②その上でユーザーに、「ほんの少しのお金を払うだけで、こんなモノが手に入るんですよ〜」といったような提案をする
ことでマネタイズしていくようなモデルです。
フリーミアムについては、少し古いですが『フリー』という本を読むとより詳しく理解できるかもしれません。
国産のパズドラやモンストだけではなく、海外産のゲームでもClash of ClansやCandy Crushなど、大ヒットを飛ばしているゲームアプリは大抵フリーミアムです。確かに、収益化の手段として、アプリ内に広告を貼り付けるというのもありでしょう。ですが、ゲームアプリのマネタイズにおいて、課金ユーザーがもたらす利益の規模感を忘れてはいけません。
よくあるフリーミアムゲームの問題点
ところが、当の僕はこれまで、モンストやクラクラみたいなスマホのゲームには、ほとんど手を出してきませんでした。正確には、すぐに飽きてしまっていたというべきでしょうか。大抵のスマホゲームには「スタミナ」だのなんだのっていう要素があるせいで、段々鬱陶しくなってきてしまうんです。あれは課金させるための戦略としては優秀なんですか、どうしてもゲームのテンポがおかしくなるんですね。『ゲーム創りはテンポが9割』なんて本があるくらい、ゲームにおいてテンポというものは大切だというのに。
クラクラの場合、確かに初めの数時間はサクサク建築が進みます。でも、ある程度ゲームが進むと、施設を建築するまでにかかる時間が極端に長くなります。建築の速度は課金次第で上がるので、プレイヤーは他のプレイヤーを出し抜くために、どんどん課金したくなるという仕組みです。一方、課金をしないユーザーは、建築にかかる長い時間、忍びがたきを忍び、耐え難きに耐え、ただ待ち続けるしかありません。ゲームを遊んでいる時間以上に、待ちぼうけている時間の方が長くなってしまんです。
めちゃくちゃテンポの良い、Fallout Shelter
BethesdaがE3で、スマホ向けのFalloutのゲーム『Fallout Shelter』リリースすると発表したとき、彼らは「ハードコアなゲームファンにも、ライトゲームのファンにも楽しめるようなゲームを作る」と言ってました。んで、実際にハードコアなゲームファンである僕にも刺さったので、彼らの目論見は正解だったと言えそうです。
Fallout Shelterでは、ユーザーのスマホはインターネットにつながっている必要がなく、建設時間の概念もなく、ゲーム内で獲得できる唯一の課金アイテムである”Lunch Box”は無課金でも簡単に手に入ります。当初Bethesdaは、「Fallout ShelterはFallout4を宣伝することが目的なので、収益化することは考えていません」と語っていました。ところが蓋を開けてみると、Fallout Shelterはリリースから1ヶ月もしないうちに500万$を稼ぎだすお化けコンテンツになったんです。
ラウンチ初週のスタートダッシュでは、Facebookなどを含めた無料アプリ全体のランキングの中で1番のDL数を叩き出しました。また売上では、Candy Clashなどの強豪を抑えてこれまた1位になりました。広告がなく、唯一の課金アイテムが通常プレイであっさり獲得できるはずのFallout Shellterがここまで高い成果を上げたというのは注目に値するのではないでしょうか。
このことはつまり、「ユーザーがLunch Boxに尋常ではない価値を見出した」ということを意味します。Lunch Boxの中には、新しい武器や衣装であったり、Fallout世界でお馴染みのキャラクターが入っているのですが、その中には最低でも1つのレアアイテムと、その他のアイテムが3つ入っています。おそらく、これが良かった。ユーザーは新しいキャラクターや装備を手に入れるためなら、1$くらい払ってもいいと考えたわけです。
Fallout Shelterは、フリーミアムのゲームがユーザーに課金させるための新たな王道を示しています。僕はこのゲームの素早い進行テンポに興奮して、ついには生まれて初めてフリーミアムのゲームに課金してしまいました。通常プレイをする分には必要のない要素であっても、「スタミナ」「建築時間」みたいな要素がなくても、課金対象となるコンテンツに十分な魅力があれば、ユーザーは喜んで課金するんです。自分のゲームを作る際、ぜひとも参考にしたい事例ですね。