田代まさしの、「マーシーの薬物リハビリ日記」を読みました。

公開日: : 最終更新日:2015/07/11 まんが, 書評, 社会学

僕は現在22歳。

田代まさしと言えば、盗撮・のぞき・シャブくらいの情報しか知りません。

昔はすごかった、ということは噂でしか知らない世代です。
てっきり根っからの芸人だと思い込んでいたのですが、田代まさしって元々はバンドをやってた人だったんですねえ。

まったく知りませんでした。

今回の記事は、そんな僕がマーシーの薬物リハビリ日記を読んでみた感想です。

今回紹介する「マーシーの薬物リハビリ日記」は、かつて芸能界でイケイケだった田代まさしが覚醒剤と出会って転落していった話や塀の中での話、覚醒剤の恐ろしさ、リハビリの様子なんかが描かれたエッセイ風まんがです。

吾妻ひでおのアル中病棟や、花輪和一の刑務所の中なんかと似たようなジャンルだと言えばわかりやすいかも知れません。

反省させると犯罪者になります

第二章の“世にも奇妙な!?「刑務所」の日々”という部分を読んで、「反省させると犯罪者になります」を思い出しました。

「反省させると犯罪者になります」は、

・罪を犯した人に形だけの“反省”をさせても意味が無い。
・反省したフリをするのは簡単だが、それでは何も解決しない。
・厳罰主義には意味がない。

と言った内容が書かれた本です。
世間的な常識からすると、何を言っているんだと思われるかも知れませんが、実際のところ現状の刑務所は再犯を防止する機能を果たしているとは言えません。

詐欺で捕まった元受刑者ブロガーのイノシシさんの、
刑務所は犯罪者「養成」施設?
行くべきは「刑務所」ではなく「病院」?
辺りを読んで頂ければ分かりやすいと思います。

特に、後者の記事はドラッグ問題について言及したものであるため、少し引用しておきます。

独断と偏見でいうと、そもそも薬物関係の方達ってのは、

「罪悪感が薄い人が多い。」

「誰にも迷惑かけてないし。」
「一人でラリッてるだけやし。」
という感じで。(「薄い」より「抱きにくい」の方が適切かな?)

もちろんラリッって人に迷惑や危害(最近話題の脱法ハーブが原因での事故等)をかけるのはもっての他だと思いますよ。

だけど、一人でラリッてる分にはそこまで迷惑かけてないわけで…(まあ家族関係や周囲の人にはかけてるとは思いますが)。

言うことには一理あるかな、と。
そんな人達に対して

「お前は悪いことした!!反省しろ!!」

と言っても

「は?何言ってんの?」

となるのは当然っちゃ当然。

これね、まさにこれなんです。
マーシーの薬物依存日記でも同じようなことが描かれてました。

「刑務所って本来は自分の犯した罪を反省させるための施設なんだとは思いますが、実際には罰を与えられてるという実感はあっても自主的に反省しようとは思えないんですよね・・・」

「応援してくれた人たちを裏切ってしまった・・・、もっと上手く使ってれば良かった・・・という後悔はあっても、反省はしてなかったです」

「シャブ中ばかり集められた刑務所にいたので、シャブの話題ばっかりでした」

といった調子で、刑務所が再犯防止に役立っている感じはまったくしません。

依存症は病気である

特にドラッグ犯罪については、刑務所で反省させても意味がありません。精々、ああ、今回は運が悪かったなあ。次はもっと上手くやろう。と思う程度です。

そもそも、薬物中毒者は意志が弱いとか、反省が足りないとか、そういうことではないんです。なぜなら、彼らは薬物依存症だから。

依存症は単なる習慣の問題だとする人もいますが、いずれにせよ厳罰を与えるより、リハビリを受けさせた方がよっぽど効果的であることには違いありません。

「ダルク」に出会ったマーシー

日本ダルクとは、薬物中毒者が集まってお互いを支えあってドラッグを辞めよう、という、ヤク中のためのリハビリ施設です。

考えてみると、田代まさしは非常にレアなシャブ中だと言えます。
例えば、逮捕後しばらくは薬物を絶っていたマーシーの握手会に紛れ込んできた売人がシャブと連絡先を渡してきた、なんてエピソードは、普通の人からすればありえない話だと思います。

面白いのは、売人だけではなく、薬物中毒者のリハビリを助ける団体までもがマーシーの知名度を狙って付け込んできている点にあります。

日本ダルクで代表を勤めている近藤さんは、塀の中にいるマーシーに本を差し入れたり、頻繁に面会をしたり、「出所後は一緒にダルクで頑張っていこうよ!」と言ったりしました。

ほとんどのシャブ中は一般人ですから、マーシーと同じように近藤さんが会いに来てくれることはないと思います。同時に、握手会でシャブを渡されるなんてこともないです。この点、マーシーは非常にレアなシャブ中だと感じました。

まだまだリハビリを始めて間もないマーシーですが、既にダルクの公演などに出たりしているようです。今度こそ本当に辞められるかも知れませんが、またやってもまったく不思議はありません。

ドラッグには様々な種類がある

ところで、一点残念だったことがあります。

というのも、帯には「覚醒剤・大麻・コカイン・危険ドラッグ・・・・
薬物を使用することの本当の怖さを教えます!」

とあったのですが、読んでみた感じ、ほとんどが覚醒剤の話だったんですよ。

マーシー自身がシャブで捕まったという事実を踏まえれば仕方ないことなのかも知れませんが、この点は少し残念なところでした。日本ではまだまだドラッグへのリテラシーが非常に低いということもあり、例えば大麻と覚醒剤を混同している人も少なくありませんが、僕はなんでもかんでも“薬物”と一括りにするのはどうかと思うんです。

逆に言えば不満はそのくらいで、シャブ中の思考、刑務所内の様子などがポップに描かれた資料はそれほど多くないので、なかなか面白く読めました。興味がある人なら、読んでみて損はないと思います。

追記
田代まさしが、スカートを盗撮して捕まったそうですね。やはり、彼が「反省」することは出来なかったようです。

現時点ではなんとも言えませんが、まんがでは覗きに関して、「そんな趣味はない」「シャブが原因でおかしくなってた」とあったので、今回もまた、シャブがハイにさせた結果の盗撮だったのかも知れません。

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