栄養ドリンクと覚醒剤は、長時間労働を評価する日本人の象徴だと思う
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社会学
オロナミンCのえげつない広告を発見してしまいました。
ポップなフォントがまた、なんとも言えない味を出してますね。
寝ないで働けってことか!?と感じざるを得ませんが、その通りです。
例えば、リゲインのCMを思い出してみましょう。
少し古いですが、「24時間戦えますか?」というコピーの衝撃は半端ではありません。
睡眠時間を削って働くのは、長い目で見ると効率が悪い
日本の女性は先進国で一番頑張っているのかも知れませんが、先進国で一番生産性が低いです。
これは性別を限定した統計ではありませんが、まあ女性に限って見たところで結果はそれほど変わらないでしょう。
2013年(暦年ベース)の日本の労働生産性は73,270ドル、OECD加盟34カ国の中では第22位。
順位は前年と変わらず。 2013年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、73,270ドル(758万円/購買力平価(PPP)換算)。
順位をみるとOECD加盟34カ国中第22位で前年と変わらず、主要先進7カ国では1994年から20年連続で最下位となっている。
情報源: 日本の生産性の動向 | 日本生産性本部
睡眠時間が短いと、生産性が下がる
アメリカ国立睡眠財団の調査によると、日本人の平均睡眠時間は6時間22分。世界で1番寝てません。
で、だ。
ペンシルベニア大学とワシントン大学が行った実験によると、
1日6時間睡眠を2週間続けると、2日間連続して徹夜をするのと同じくらいパフォーマンスが低下してしまうんだそうです。
しかも、被験者たちは自分のパフォーマンス低下に気付いていなかったそうで。これ、本当に怖い話ですよね。
つまり、ほとんどの日本人は自分1人気付かないうちにパフォーマンスを低下させているってことですよ。
日本人の生産性が低い原因の1つには、睡眠不足が関係していると考えても間違いはなさそうです。
眠気覚ましにカフェインを摂るのも、長い目で見ると逆効果
栄養ドリンクやエナジードリンク、コーヒーなんかでカフェインを摂取して眠気や疲れを吹き飛ばした気になっている人がいますが、これもまた、長い目で見ると効率が悪いです。
カフェインを摂取すると、アドレナリンとコルチゾールという物質が脳内で分泌されます。アドレナリンには興奮作用があり、それが出るから目が覚める訳です。
ところが、問題はコルチゾール。
これは突然にパトカーや消防車のサイレンを聞いたときなんかにも出てくるストレスホルモンで、あんまり大量にあると脳の海馬を萎縮させるんですよ。
海馬は記憶を司るところですから、コルチゾールを出すカフェインに頼り過ぎるのは良いことではありません。
レッドブルなどのエナジードリンクは、日本製栄養ドリンクの後追い
とはいえ、寝ている暇がないくらい働きまくるのが日本人。
せめてカフェインでも摂取していないとやってられません。
そのため、日本人は栄養ドリンクを発明しました。
今でこそ日本でもレッドブルなどが流行していますが、そのレッドブルにしたって、元々は大塚製薬のリポビタンDを参考にして作られたものです。
ほんでこの栄養ドリンク。
広告の、
「24時間戦えますか?」
「日本の女性の睡眠時間が先進国で一番短いそうです。それは、一生懸命の証です」
などと言ったコピーからも解る通り、あれは長時間労働を乗り切るための商品です。
そしてこの考え方、究極的には覚醒剤の使用者と同じです。
覚醒剤を発明したのも日本人
栄養ドリンクを発明したのが日本人なら、覚醒剤を発明したのも日本人です。
覚醒剤を摂取した人は単純な作業を苦もなく繰り返すことが出来るようになるため、工場労働や長距離ドライバーなどにもってこい。かつては、ヒロポンという商品名で薬局にも並んでいました。昔の労働者や学生は、今の若者がレッドブルを飲むような感覚でシャブをやっていたんです。
また、覚醒剤は軍隊との相性もバッチリ。
第二次世界大戦では、日本軍はもちろん、ドイツやアメリカ軍にも使用されていました。
特に米空軍では現在でも覚醒剤が常用されていて、「覚醒剤なんかいらないよ」というパイロットは作戦に参加できないルールになっているくらいであります。
要するに、覚醒剤は「24時間戦えますか?」どころではなく、実際に24時間戦うためのドラッグなのです。また、今でも日本人が覚醒剤を使用する主な動機は「仕事のため」であることが多いようです。
コカインを吸うアメリカ人、シャブを打つ日本人
ところが、日本と同じくらいワーカホリックが多いと言われているアメリカでは覚醒剤がそれほど流行っていません。代わりに、彼らはコカインを吸引しています。
一般に、覚醒剤は一発打つと12時間くらいは効きっぱなしです。逆に、アメリカで人気のコカイン。こちらは効果の続く時間が30分程度しかありません。
ウルフ・オブ・ウォールストリートなどの映画で描かれている通り、コカインの場合は1日に何回も吸引する必要があります。とはいえ、1回30分って、メタンフェタミンと比べると圧倒的に短いですよね。
ウィリアム・バロウズが「ドラッグとは生き方だ」と言ったように、どのドラッグを使うか、というのは、その人の人生観に関わってくる問題です。
覚醒剤を好む日本人労働者と、コカインを好むアメリカのビジネスマン。
地理的に、アメリカはコカインの原産地が近いと言った理由もあるでしょう。ですがそれ以上に、この違いの裏には日米の労働観の差があるように思えてなりません。
労働時間を重視する日本人、労働成果を重視するアメリカ人
あまりにも単純化がすぎるかも知れませんが、一般的に日本人は労働時間を、アメリカ人は労働の成果を重視しているのではないでしょうか。
日本には、ブラック企業の論理が代表するように、労働時間が長ければ偉い・残業をして頑張っている人は偉いといった風潮が存在します。いくら成果を出したところで給料は大して変わらないし、誰かが残業をしていたら自分も付き合わないといけないような空気があります。
そのため、日本人は労働時間の割に生産性が低いんです。
一方で成果主義のアメリカでは、例え労働時間が短くても結果を残せれば評価され、結果がダイレクトに給料に反映されます。だからこそ頑張る訳で、生産性が高くなります。短期間集中してガッと稼ぐイメージです。
これ、どうもコカインとシャブの違いと重なっているような気がします。
いずれにせよ、身を粉にして働くのもほどほどにしておいた方がよろしいでしょう。
お後がよろしいようで。こちらからは以上です。
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