ラッスンゴレライが売れた理由を心理学的に考えてみた

公開日: : コラム

先日近所の公園を散歩していたら、女子中学生の集団がラッスンゴレライをやってるところを動画に撮っている現場に遭遇してしまいました。9歳のいとこに、「チョットマッテチョットマッテお兄サァンwwwwww」とか言われてイラッとしたこともあります。また、最近ではファミマの店内放送でもラッスンゴレライが流れてます。

にわかには信じがたい現象ですが、ラッスンゴレライ、マジで流行ってるんです。

ところがこのラッスンゴレライ、僕はどうしてもハマれません。いくら見ても面白くないんです。ビートたけしに「バカ大学の学園祭じゃないんだから」と言われている通り、お笑いとしては非常にクオリティが低いと思います。

しかし、事実として彼らは流行ってます。
オリラジのパクリとか藤崎マーケットのパクリだというのは問題ではありません。また、真のお笑いとはなんぞやみたいな話でもありません。たぶん、表に出てきてないだけでラッスンゴレライ的な芸をやってる人は相当数いるんだろうと思いますが、そんな中でもラッスンゴレライは格別に流行りました。そして、少なくともビジネス的には、売れてないけど面白い芸人より、流行ってるけど面白くない芸人に価値があります。

リズムネタはマスに受ける

世間は、お笑いにうるさい人ばかりではありません。僕はおぎやはぎや東京03を心底尊敬しています。彼らには実力があるのでコアなファンはたくさんいます。ところが、彼らみたいなタイプのネタをやっている芸人には一発屋になるほどの爆発力はありません。例えどんなに順調に見えたとしても、彼らのようなタイプは、売れるとすれば地道に売れていきます。

それは、おぎやはぎタイプのネタには好き嫌いが別れるのに対し、リズムネタには世の中の多くから受け入れられる、普遍的な面白さがあるからです。

リズムやテンポがよく、ラッスンゴレライってなんだよwwwみたいな、ある種の引っかかりがあれば、とりあえず頭に残ります。頭に残らないリズムネタは流行りません。ラッスンゴレライは頭に残った。だから流行ったんだと思います。ここらへん、CMなんかにも通ずることろがありそうです。

ラッスンゴレライが流行った科学的な根拠

これだけだと、「何を当たり前のことを言ってやがる」という感じがするので、一応科学的な裏付けを述べておきます。これは発達心理学の世界では有名な話なのですが、世の中には、例えば「ラジカセを想像してください」と言われたとき、

具体的なラジカセの形をイメージする人
ラジカセから流れる音をイメージする人
「ラジカセ」という文字そのものをイメージする人がいます。

同じ情報を受け取っても、人によってイメージするものが異なるのは、認知特性が違うからです。認知特性とは、得意な情報処理のパターンのことです。音で理解するタイプの人が具体的なイメージを思い浮かべるのはしんどいんです。しかも、認知特性は生まれつきなので努力しても変えることはできません。

認知特性のパターン分けの仕方は、細かく見ていくと人によって色々と事なるのですが、視覚的にイメージする人、音で理解する人、言葉で理解する人がいるよね。といったことは概ね共有されております。

僕は、母という病で有名な岡田尊司さんがいう、

具体的な形をイメージするのが視覚空間型
音を聞いて言葉で理解するのが聴覚言語型
文字を見て言葉で理解するのが視覚言語型

という分類を気に入ってるので、これを元に話を進めていきます。

岡田さんによると、8割の人は聴覚言語型なんだそうです。彼らは人が発した言葉を耳で聞くことで、内容を理解するタイプです。

これ、なんだかラッスンゴレライが流行った理由ともつながってくると思いませんか?

先程も述べたように、ラッスンゴレライが流行ったのは、「意味不明な言葉を、リズム,テンポよく次々と発しているから」でした。 

世の中の大半は聴覚言語型で、彼らはラッスンゴレライのように、テンポよく意味不明なことを続けられると、思わずハマってしまうのです。もちろん、中にはハマらない人だっていますが、なにせ八割は聴覚言語型です。そのうち数%がハマれば、これはもう大変なブームになります。

特に、子供のように比較的素直な人たちは真っ先にハマります。だからこそ、ラッスンゴレライはあそこまで流行ったし、毎年のようにリズムネタをやる芸人が現れては消えてゆくのです。

逆に、意味不明な言葉やリズムにイマイチ乗り切れないのが、視覚空間型と視覚言語型の人たち。
ただし、ひょっとすると視覚空間型の人は「面白い動き」には反応するかも知れないので、何割かはハマるかも知れません。どうにもハマりそうにないのは、視覚言語型の人たちです。彼らは意味不明な動きからも面白さを感じない可能性が高いからです。

ところが、これら2つの認知特性はそれぞれ10%ずつしかいないので、大勢に影響を与えることはありません。ちなみに、僕は強烈な視覚優位型です。既にお解りの通り、ラッスンゴレライにはハマってません。

お笑いをやるにせよ何をやるにせよ、自分の認知特性を知っておくことや、人それぞれ認知特性が違うということを知っておくのは非常に役に立つと思います。

医師のつくった頭の良さテストという本を読めば、自分は何が強くて何が弱いのか、また、認知特性を伸ばすにはどうすればいいのかなどが具体的にわかるのでオススメです。この本をやった結果の分析は、こちらの記事に詳しく書いておいたので、興味がある方はそちらも合わせて読んでみてください。

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