昔のホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人やデニソワ人などと当たり前に交配していたかも知れません
日経新聞でこんなニュースが取り上げられていました。
いやー、感慨深い。
人類進化の定説が大きく揺らいでいる。最近の研究では、ネアンデルタール人などの旧人類と現生人類との間に、これまでいわれていたような深い断絶はなく、実はかなりの交わりがあったことが明らかになってきた。むしろ、別の血を入れることが人類をより強く進化させてきたようだ。
(中略)
■異なる遺伝子で強く
そうした混血はホモ・サピエンスに有益だったようで、そのおかげでホモ・サピエンスは生存に有利に働く遺伝子を獲得できた。
例えばネアンデルタール人から受け継いだDNAは免疫力を高めたらしい。またデニソワ人由来のある遺伝子変異は、チベット人が酸素が希薄な高地で生活するのを助けている。
ホモ属の起源に関する定説も揺らいでいる。従来、ホモ属は東アフリカが起源とされていたが、近年、南アフリカ共和国のマラパで発見された200万年近く前の人類化石は、ホモ属がアフリカ南部に現れた可能性を示唆している。
我々はネアンデルタール人との混血だった 覆る進化の定説
日経サイエンス
2014/10/25 7:00
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78680150R21C14A0000000/
僕は幼稚園児の頃に親父から猿の惑星を100万回見せられ思春期に家畜人ヤプーを10万回読んだ結果、人類の進化、特に他の種との混血に物凄く興味をもつようになったんですよ。火の鳥の望郷篇とかも大好きです。
今回のニュースのポイントは、なんといってもデニソワ人の話ですね。
デニソワ人ってすごいんですよ。
4万年前までロシアのアルタイ地方とか中国辺りにいた「旧人」なんですけど、なんといってもデニソワ人が発見されたのは2008年で、新種だと確認されたのが2010年ですから、本当につい最近の話なんです。
初めは発見者も研究者もネアンデルタール人の化石だと思ったらしいのですが、化石からミトコンドリアDNAを取り出して解析した結果、新種だと判明しました。DNA解析で確認された「新種」の人類は、デニソワ人がはじめてです。テクノロジーの進歩ってすごいですね。
逆に言うと、昔はDNAを読む技術がなかったせいで、本来は別の種だった人類を間違って分類していた可能性だってあるわけですよ。人類進化の謎を解き明かすには、発見されていないピースが多すぎるんです。
「家畜人ヤプー」と人類の進化
沼正三さんという変態マゾヒストが1956年から書いていたSF超大作「家畜人ヤプー」には、「日本人はネアンデルタール人の子孫」で「白人はクロマニヨン人の子孫」だから、「日本人=ヤプー」は「人間」より劣っているので家畜化すべき。という設定があります。
ところがどっこい、今回のニュースにもあった通り、本当は白人だって「ネアンデルタール人の子孫」だったわけですね。
実際には僕たちホモ・サピエンスの先祖は中東辺りでネアンデルタール人と交配したという説が有力です。日本人も含めユーラシア大陸以降の人類はほぼ全員がネアンデルタール人のDNAを持っているわけです。白人も日本人も中国人も、みんなみんなネアンデルタール人の子孫だったんです。
さらに、人類に影響を与えた異種人類はネアンデルタール人だけではありませんでした。
例えば、チベット人は最近発見された「デニソワ人」の遺伝子を受け継いでいるので「高地適応」できるようになりました。また、メラネシア系の人たちはかなりの量、デニソワ人由来のDNAを受け継いでいるそうです。
発見されてないだけで、過去にはネアンデルタール人やデニソワ人以外にも第3第4の「旧人」がそれぞれの地域ごとで後からやって来たホモ・サピエンスと交配していた可能性もあり、かつては異種間の交配がかなり一般的だったのかも知れません。
肌の色の地域差、体格、目の色、まぶたの形、鼻の形など、現生人類には地域によっても固体によっても、かなりのバリエーションがあります。異種間交配が、そうしたバリエーションを増やしていった原因だったとしたら面白いです。
今はホモ・サピエンス一種しかいませんが、「ロード・オブ・ザ・リング」の世界にホビットやドワーフ、エルフなんかがいるみたいく、かつてはネアンデルタール人やデニソワ人が当たり前のようにそのへんを歩いていたわけですよ。ワクワクが止まりません。
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